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感染症の歴史【中高】

 初めまして、72期の竹中です。「自宅で楽しむオモシロ知識」第三回は、新型コロナウイルスに因んで感染症(パンデミック)の歴史を振り返りたいと思います。

 

 世界を恐怖に陥れた感染症(パンデミック)は複数あります。今回はその中でも有名な2つ、ペストとスペインかぜについて説明します。

 

 まずペストです。特にペストで有名なのは14世紀に流行したものだと思いますが、実は紀元前にもペストは存在していたとも言われています。

 アテネが覇権を握っていた頃(紀元前4世紀)、スパルタを中心とした諸ポリス(ポリス=都市という認識で大丈夫です)がアテネに反発し戦争を起こします(ペロポネソス戦争)。アテネは過去にアケメネス朝ペルシアという大国を破ったことのある非常に強いポリスでしたが、スパルタ陣営に負けてしまいます。その理由として、疫病が流行っていたからというのがあります。その疫病の特徴がペストに似ているため、確定ではありませんが当時アテネにペストが流行っていたという説があるのです。

 14世紀に流行ったものは、中国の雲南発祥と言われています。13世紀、14世紀はモンゴル帝国がユーラシア大陸ほぼ全体を支配していたという歴史的背景もあり、瞬く間にウイルスが広がりました。このペストはヨーロッパ諸国に甚大な被害を与え、ヨーロッパの人口の3分の1が減ったという説もあります。この時、多くのユダヤ人が疫病の元凶であるという濡れ衣を着せられ虐殺されたという史実があります。現代でも中国人差別が各地で起きているとも聞きます。残念ながら似たような過ちを人間は繰り返すのですね…。ペストは現在でも根絶はされておりませんが、治療法はある程度確立しているそうです。

 

 次はスペインかぜです。名前からして、スペイン発祥と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。スペインかぜが流行したのは第一次世界大戦の終わり頃、アメリカが参戦した頃だそうです。アメリカの兵士達が戦争のためヨーロッパに渡り、そこから世界中に広まりました。ですから、発祥はアメリカと言われています。スペインのメディアが感染症が流行していると報道したことを皮切りにスペインかぜと呼ばれるようになったのです(スペインかわいそう)。スペインかぜは鳥インフルエンザの一種で、その感染力は途轍もなく、世界人口の半分は感染し、死者数は4000万〜5000万とも言われています。

 このスペインかぜ、実はワクチン無しで収束したのです。当時、どうしてもワクチンができないことから、感染拡大を防ぐために人との接触を避けるといった、現在の新型コロナウイルス対策で使われているものと同じ手法が用いられたようです。感染が限界に達し生き延びた人たちが体内に抗体を持つことでウイルスが無効化され収束しました。

 

 

 感染症。それはいつ発生するものかわからない、それは歴史の中ものだ、と思っていた人も多いと思います。ですが、現実は現実です。感染症が流行ってしまっている現在、私たちができることはStay Home以外にも、こうやって歴史から学ぶということもあります。ペスト、スペインかぜ以外にもパンデミックはたくさんあるので、興味を持った人たちは是非とも調べて、そして学んでもらいたいと思います。

 

それでは、また次回。