こんにちは。72期の大湯です。
今回は「イグノーベル賞」についてお話ししたいと思います。
○イグノーベル賞とは○
イグノーベル賞という言葉を聞いたことありますか?
ノーベル賞しか知らないという人も多いはず。
簡単に言ってしまえば、イグノーベル賞というのはノーベル賞のパロディです。
英語で表記すると「Ig Nobel Prize」となります。
Nobel Prize=ノーベル賞 に ignoble=不名誉な という単語を組み合わせて作られた造語表現でもあります。
ではどういった業績を評価し、表彰する賞なのでしょうか?
公式では「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる業績」に対して贈られる賞とされています。
つまり、単に素晴らしい科学的業績だけでなく、その着眼点とその業績で人々を考えさせてくれるのかということ、またユーモア溢れる仮説、実験、結論を行わなくてはいけません。
元々、ユーモアに富んだ科学雑誌を発刊していた会社のマーク・エイブラハムズという編集長が『風変わりな研究の年報』という雑誌を発刊するにあたって1991年に作られた賞です。
小さい頃から科学が好きだったと話すエイブラハムズ氏。
ただ、本当に好きだったのは学校の先生が話してくれないような教科書のコラムにあるようなものだったと語っています。
科学雑誌などの面白い記事を集めるのが昔から好きでよく集めていたそう。
そんな面白い記事に共通して言えるのは全て「自分の経験や知識の外にあること」であるとエイブラハムズ氏は言います。
イグノーベル賞を受賞する人々はみんな人々の予期しない人間であるそうです。
だから笑いが起きるのだとか。
○授賞式○
受賞部門はノーベル賞と同じ化学賞や物理学賞、平和賞などもあれば異なるものも存在し随時追加されています。
毎年10程度の個人・団体に贈られます。
ノーベル賞はノーベルの命日12月10日に平和賞はノルウェーのオスロ、平和賞以外はスウェーデンのストックホルムで行われます。
一方、イグノーベル賞は毎年10月にアメリカはマサチューセッツ州ハーバード大学で行われます。
ノーベル賞とイグノーベル賞は授賞式についてやたらと対の関係になっていることが多いです。
(もちろん、イグノーベル賞側が勝手に対にしているのですが。)
以下それをまとめていきます。 ※ノーベル賞→No、イグノーベル賞→Ig と表記します。
・受賞対象:No 存命の人のみ Ig 故人を含む
・授賞式会場:No ストックホルムのコンサートホール、オスロ市庁舎 Ig ハーバード大学
・賞金:No 1千万スウェーデンクローナ(約1億円) Ig 10兆ジンバブエドル(約0.3円)
・スピーチ時間:No 無制限 Ig 1分
・敬意の対象:No スウェーデン王室に敬意を払う Ig スウェーデンミートボールに敬意を払う
などなどたくさんあります。
さすがにふざけすぎじゃないかと思うかもしれませんが、これがイグノーベル賞です。
イグノーベル賞のスピーチは1分(60秒)ですから時間が全然ありません。
ノーベル賞のスピーチといえば授賞式後の晩餐会で語るのが通例です。
しかしイグノーベル賞では授賞式の段階で講演しなくてはなりません。
しかも笑いをとりにいかなくてはならないという極めて過酷なミッションです。
大抵の場合この制限時間を過ぎてしまうことは想像がつきそうです。
では60秒が過ぎるとどうなるのか。
何と8歳の女の子が壇上に登場します。
この女の子は「Mss Sweetie Poo」といって1分が立つと舞台脇から演説者のところにやってきて...
「Please stop! I'm bored!」=「もうやめて。飽きちゃった。」
と大声で連呼しまくります。
ですから1分間が経過するとイヤでもプレゼンをやめなくてはなりません。
「Mss Sweetie Poo」は1999年に登場した強力なタイムキーパーです。
なぜ8歳の女の子が登場するのかというと、人間は8歳の女の子にののしられるのが一番傷つくという研究結果に基づいているからなのです。
というのも、多くの研究者はプレゼンで自分の研究結果についてたくさん話そうとします。
でも、ユニークな研究に贈られる賞なのに発表が学術用語を多用し、時間が長いなんて最悪ですよね。
だから「Mss Sweetie Poo」が存在しているわけなんです。
しかし研究者の中には「Mss Sweetie Poo」をお菓子のプレゼントで買収しようとする人も...
お菓子を上げても買収は難しく、講演時間を延長できた人はいまだにいません。
あと、訳あって授賞式が夜中に行われる場合は「Mss sweetie Poo」は現れません。
○日本はイグノーベル賞受賞常連国!?○
何と日本人がイグノーベル賞に輝いたのは現時点で25回です。
そして現在13年連続という記録を継続中です。
これは凄い。
ではどんな研究があったのでしょうか。
私の個人的なお気に入りを紹介しようと思います。
2012年 栗原一貴さん、塚田浩二さんの受賞内容「スピーチ・ジャマーの開発」です。
会議の時などにつまらない話を永遠にする人などにスピーチ・ジャマーを向けると、向けられた側は大変話づらくなってしまうというものです。
スピーチ・ジャマーは受け取った音を2秒後に流します。
ですから話し手は2秒前の自分の声を聞くことになるので脳が処理に追いつけず混乱し、話づらくなります。
2014年 馬淵清資さんの「バナナの皮の滑りやすさ」も面白い研究です。
漫画やゲームでバナナの皮を置いておくと滑ってしまうということがよく見られます。
実際はどうなのか研究したということです。
バナナの皮の内側の成分は確かに非常に滑りやすいということが研究の結果わかったそうです。
また、これにより馬淵さんは人工関節の摩擦軽減に生かしたいということでした。
○まとめ○
今回はイグノーベル賞についてお話ししましたがいかがだったでしょうか。
とても面白い研究がたくさんあるので、ぜひ調べてみてくださいね。
それではまたお会いしましょう。
お元気で⭐︎